2002年12月
〜理論学習 神経質症にどうしてなったか?〜

◆症状に悩んでいた頃
定年前に退職のときには有終の美を飾りたいという思いもあり仕事を必死になってこな していました。
思いつめた完璧主義なってしまい、心が流れない状態になっていました。
仕事だけでなく、家族といっしょにすごしたり、趣味を持ったりリラックスしたり というバランスが大事だということがわかりませんでした。
◆自分が神経症だとわかった理由
1.器質的な病気ではない。  もともと胃腸が弱かったのですがものが食べれなくなってしまいました。 心配で医者巡りをしたのですが、胃腸の検査をしても異常はみつかりませんでした。
2.神経症になりやすい性格(心配性、執着生、自己内省的、強い欲求)
・劣等感、コンプレックスを持っていて自分の短所ばかりを見ていました。
・人から言われたことをいつまでもずっと覚えていて人の思惑ばかり気にしていました。
・よりよく生きたいという思いが強く欲求が高い分だけ思い悩むことになりました。
 3.心気症  物事をすぐに気に病んでしまう。
 4.精神交互作用
・「これを食べればまた調子がわるくなるのではないか」などと胃腸のことばかりを気にして、 そのことばかりに集中してしまい、他に注意がいかなくなりました。
 5.完全主義 「かくあるべし」という理想主義と思い込み
・会社の為にと全力投球で仕事をしているつもりでしたが実際は人から「さすがだ」 「さすが創業者だ」と思われるように行動していました。ほめてもらいたいという野心 がありました。
◆森田を知ってから
・家族に対しても副社長の家族としてはずかしくないようにとメンツで接していたが、 家族のために行動するようになりました。
・「ありがとう」を何回も言うようになりました。
・人がよろこぶように行動していると自己嫌悪もとれていきました。
・自分の長所を活かして行動するようになりました。
◆とらわれてしまうとそのことばかり考えてしまうのですがどうしたらいいですか?
・仕事が山のようにあるので自分を心配したり不幸を数える時間がありません。 目的本位に行動して人がよろこぶことを尻軽く前向きに行動しています。 人によろこんでもらうこと自体に満足します。
・自然の摂理に生かされていることに感謝しています。感謝することは健康にもいいです。
・自分が過去に悩んだことを集談会などでいろいろ言って回りましたが、 自分の話が役に立つ人もいるんだなということがわかりました。
・自分の症状が楽になったらそれでいいという人もいますがたんに自分が楽に なったというだけでいいのですか?
★ 森田正馬全集 森田正馬全集 第5巻P.45より -----------------
「神経質の治療のために、今まで暗黒であった家庭が、明るく平和になる事は 著名な事である。
ここに思い出すのは今年二月のこと、四十六歳の夫人、 はるばる上京して夫婦同時に私の診察を受けにきた。夫婦が平和にならないのは、 互いに相手が悪いと思っている。お互い暴行に及ぶ事があったが、後には婦人の方 が強くなって、物を投げたり、ひっかいたりするようになり、傷の絶えることがな いというほどであった。診察の結果、私は「ご都合で、どちらでも一人治せばよい」 といった。
しかしご主人の方は会社が忙しいし、また私の方も殴るほうを先に治したほうが 便利であるので、婦人が入院することになった。
全体は四十余日間の入院であったが、随分よくなって心機一転し、退院後、 家庭は全く平和で、ご婦人から非常に喜んだ手紙がきているのであります。 ・けんかの原因は自分でつくっています。敵の前でけんかをやってもらちはあきません。
・怒りがおきた場合の対処方法として、相手と戦わずに一人きりになって苦悩と戦う方法 と物そのものになって行動する方法と2つあるように思います。
・お互いに言い合ってもダメだと思います。工夫もなく人にあたるとまた同じ失敗を くり返すことになると思います。
・腹立ちや怒りに対して気をまぎらわそうとするのではなく、 どっぷりと腹立ちにつかったほうがいいです。
★ 森田正馬全集 森田正馬全集 第5巻P.47より -----------------
自分が治るとともに、同病相憐れむところの他の患者たちをも治したい 心が当然起こるのである。
もし単に自分が治ったというだけで、犠牲心が 発動せず自分の打ち明け話が恥ずかしいとか、人に知られては損害になるとかいう 風では、まだその人は小我に 偏執し、自己中心的であって、本当に神経質が全治 しているのではない。本当の法悦の味を知らない人の事であります。
どうか皆様も同病相憐れむほかの患者のために、自分の病症やその治る に至った成行きを詳しく打ち明けて、後進の人のために犠牲心を発揮してもら いたいのであります。
とじる